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When They See Us
Updated: Sep 24, 2019

1989年NYのセントラルパークでジョギング中の白人女性が、何者かに襲われ、
レイプと暴行を受けて血だらけの状態でパトロール中の警察に発見された。
警察は公園内を徘徊していたアフリカ系アメリカ人、ヒスパニックのティーンエイジャー5人を逮捕、十分な睡眠時間が与えられない状態で長時間に渡って行われた取り調べで、他の人間が首謀者で自分はそれに加わっただけだという供述をすれば家に帰してやると言われ、めいめいが自分以外の人間を名指しする供述をしいられた挙句、全員有罪で6~13年の刑を終えて出所後に、真犯人が特定された
という人種差別的な冤罪事件、通称セントラル・パーク・ファイブを取り上げたNetflixオリジナルの映画。
オプラ・ウィンフリーが、かつて"セントラルパーク・ファイブ"と呼ばれた5人の男性にインタビューする番組”Oprah Winfrey Presents: When They See Us Now”も配信。
この中で冤罪をはらした5人のうちの一人が、未だに自分をそそのかして嘘の供述をさせた父親を許せないと語った場面で、客席にいた、映画で5人を演じたキャストの俳優たちが、
全員泣き崩れる場面、役者は演じることで本人の過去を追体験し、同じ苦しみを味わっていたのだ。
偏見と差別が、無実の人間の人生をいとも簡単に奪い去る。恐ろしい話。
僕もかつて一度だけ警察の取り調べを受けたことがある。
新宿公園の脇の道路に車を止めて、携帯電話でクライアントと話しているところへ二人組の警官が現れ、車内を見せてくれという。どうぞというと、彼らのうちの一人がいきなりダッシュボードを開けて、中にあったスイスアーミーの万能ナイフを取り出し、
”あなたは条例違反の刃物を持ち歩いています。これは犯罪です”
と言い、警察所に連れて行かれた。そこで車のダッシュボードを開けてそこを指差しているところの写真を撮られ、聴取室へ。
”なぜ違法に刃物を持ち歩いていたのですか”という問いに
”この小さな万能ナイフが新宿区の条例違反であるなどということは全く知らなかったし、
そもそもナイフが車の小物入れに入っていたことさえすっかり忘れていた”
答えると
”我々としては、あなたが他人に危害を加える目的でこのナイフを所持していたと思っています” という。
”だとしたらそのことを立証しなさい、さらにその条例がいついかなる理由で施行されたのか、新宿区内を通行する人のためにその条例を知らしめるためにどんな方法がとられたのか”
”あなたの上司を呼びなさい” 僕の発言。やってきた上司の刑事課長に、
”あなたは部下に人をみたら犯罪者と思えという教育をされていると思うが、彼らが僕のことを犯罪目的で刃物を所持しているという判断をした根拠についてどう思うか?”
と聞くと
”まあ、見た目でしょうね” という。
”このことは問題にします、ありとあらゆる手段でこのことを広く人々に知らしめて、
あなた方に不当に人権を阻害する警察官の風下にもおけぬふとどき者というレッテルが貼られるまで戦いますよ” というと
”まあそこまで大げさに考えないでくださいよ、軽い事情聴取なんだから” という。
頭にきた僕が、
”任意の事情聴取なら一旦帰らせてください、弁護士に相談して、あなた方のことを警視庁、警察庁、および検察、自治体、マスコミ向けの内容証明で告発するから” というと
”あなたの誤解をまねいたとしたらお詫びする、もう帰っていいですよ” という
”取り調べはどうするんですか?”
”もういいです、二人には謝罪させますから” 課長の後方で手を合わせるふたり。
”しょうがないなぁ、これからは気をつけてくださいよ”
”本当に申し訳ありませんでした”
謝る二人に見送られて警察署を出たが、後になって考えると、もしかしたら結構あぶないところまでいっていたのかもしれない。
あのときかけていたサングラスがまずかったんだな。